夢の風景
見渡す限りに広がる真っ白い地平。
そこにポツンと置かれた真っ白い立方体に腰かけ、僕は煙草を吸っている。
空まで真っ白なこの世界で、僕はその曖昧な地平線をぼんやりと眺めていた。
「大人ぶっちゃって」
突然そんな声が聞こえて横に目をやると、小学生姿の君が笑顔で立っていた。「最近調子はどう?」と笑顔のままで彼女は小首をかしげる。
少し驚いたが、僕はゆっくりと前に目を戻し、煙草をひとつふかす。それからゆっくりとした口調で、普通だよ、と答えた。
クスクスと柔らかい声で笑い、彼女はまた「大人ぶっちゃって」と言った。なんだかムッとした僕は、大人ぶってなんかない、と言おうとして再び横に目を向ける。
しかし、彼女の姿はもうそこにはなかった。
僕は、そうか、と妙に納得し、寂しくなるな、と考える。そこですぐ、なぜ寂しがるのだろう、と思った。
少し考えてみるが分からず、すぐに諦めて煙草をふかし、また曖昧な地平線を眺めた。